2012年12月9日日曜日

old is new (第1回)

         ・・・粟野賢太郎

 しじみ蝶の羽にふれても動かない  啓司
正確には蝶の羽にまだ触れていない。しかしふと言葉した時には触れている。

 青空高く遠く山並み続く  敬雄
山頭火は山の中へ狭まっていく。井上敬雄は空や山に広がっていく。

 握り締める女の拳の静脈の青さ  ゆ
女といるのに手を見ているなんて、変態さんです。

 いちょう踏みつぶして人行き来する  明人
落葉の宿命でしょう。足跡がついたイチョウも綺麗です。

 下界は朝焼けの農道が光っている 水娥
神様みたいです。

 冷たい雨に紅葉着て石仏のいる  幸市
石仏がいるとしているところに作者の気持ちがよく出ている。

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