随庵コレクション(第3回)
夜の雲白く大きく自転車こいでいく 敬雄
雪になって明りのつくガラス窓 敬雄
直立の学生服の丸坊主ばかり 裕子
病院の玄関まで車椅子の弟を兄が押す 裕子
湯煙りの地獄巡りを雪が舞う 昭代
初釜に新しい帯の背を正す 水娥
水面を軽くへこませ枯葉の浮く 啓司
店先の切り花にも雪がふる 啓司
出棺のあと夜のエレベーターに一人のる 恵子
ホームのおぼろ月見上げるは一月半ば 裕子
鏡に死に顔の朝の歯みがき 多喜夫
米研く手も軽く二人きりになっている 幸市
たずね人のお知らせ空から聞こえる 愛蓉
ふと見た窓外に雪の舞う さとみ
小さな靴も霜柱踏んでいる としこ
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