2013年3月5日火曜日

随庵コレクション(第3回)


夜の雲白く大きく自転車こいでいく        敬雄

雪になって明りのつくガラス窓           敬雄

直立の学生服の丸坊主ばかり           裕子

病院の玄関まで車椅子の弟を兄が押す     裕子

湯煙りの地獄巡りを雪が舞う            昭代

初釜に新しい帯の背を正す             水娥

水面を軽くへこませ枯葉の浮く           啓司

店先の切り花にも雪がふる             啓司

出棺のあと夜のエレベーターに一人のる    恵子

ホームのおぼろ月見上げるは一月半ば     裕子

鏡に死に顔の朝の歯みがき           多喜夫

米研く手も軽く二人きりになっている       幸市

たずね人のお知らせ空から聞こえる       愛蓉

ふと見た窓外に雪の舞う              さとみ

小さな靴も霜柱踏んでいる             としこ

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