2013年4月25日木曜日

お知らせ

 自由律俳句10句作品募集!!

随句誌『草原』では、まだ見ぬ自由律俳句作家の皆さんの作品を募集します。
年齢・句歴・所属結社等、一切問いません。どうぞ、皆さんの自由律俳句を『草原』誌上にてご発表下さい。
ご応募いただいた作品は、『草原』誌上にて、『草原』編集長そねだ による観賞・句評を添えて掲載致します。

ご応募に際しましては、自由律俳句の10句作品にタイトルを付けて、俳号と簡単なプロフィールを添えて下記の連絡先にメール下さい。

 連絡先メール:yanokatsu64@yahoo.co.jp(矢野錆助)



【そねだ編集長による観賞・句評例】

 雨あがる     矢野風狂子

雨止んでもネズミ色の空ネズミ色のアスファルト
飛行機雲ちりぢりになって消えた
気付けば日没の一日に舌打ち
猪肉で煙るあばら家の上の白い半月
頭掻き掻き銭の話
土鍋の底の雑炊冷えた
米炊くより餅焼く睦月
スルメしゃぶって男ばかりの酒
低音の女が歌う別れの詩
静か過ぎてため息響く


 『雨あがる』観賞     そねだ ゆ

 随句は散文でなく韻文ですから、感動を表現する時、できた句を口の中で繰り返して、韻があるか、最も律のある表現にできるだけ早く達するように癖をつけます。随句がストンと読み手や聞き手の心や魂に落ちるためには、読み手が人あるいは日本人だということを考えれば、大和言葉を語源とする和語を使うように、日頃なじんだ言葉を使うようにします。チャイナ由来の漢字でなく、平かなで感じて平かなで表現するする癖をつけるようにしてください。
 人が生活していて日頃見ている馴染んだ事柄を、他の人が見えなかった眼差しでものを観切って、独自の表現をする事、そうすると読み手や聞き手は、「そうだよなぁ!」と膝を打つような句ができます。それが名句です。それは難しいことではなくて、意識して、身に着ければ口を利けば自然にいい随句になるような句境になる筈です。

 雨止んでもネズミ色の空ネズミ色のアスファルト   風狂子
雨は止んでも雲が未だ厚く、薄暗いのですね。濡れたアスファルトの黒いこと黒いこと。歌の城ヶ島の雨は利休鼠といいますが。頂句です。できていますが、インパクトが少し弱いので、なにか視点を変えてみるなどされるといいかもしれません。
 春の空にクレーンが伸びる  ゆ

 飛行機雲ちりぢりになって消えた  風狂子
飛行機雲は上空の風に吹き飛ばされますね。ママで説明的ですね。できていますが、この情景になぜ心が動かされたのかのポイント、感動点が良く出ていないのが弱いです。
 取り残された飛行機雲よどこに行く  ゆ

 気付けば日没の一日に舌打ち   風狂子
冬の一日はつるべ落としで、やりたいことの半分もできないうちに暗くなりますね。頂句です。ただ一日が必要かどうかですね。さらに言えば気付けばを練るともっとすっきりするはずです。
 暗くなったキーボードのブラインドタッチ  ゆ

 猪肉で煙るあばら家の上の白い半月  風狂子
最近は古里の蜜柑山にも猪が横行していて年寄も近付かず蜜柑畑も荒れ放題です。年寄りだけでは限界です。夜空に煙突からの煙と月が白い、きれいな絵です。ママだと思いますが、感動点を訴えるには焦点を一点に絞らないと句がボケてしまいます。あれこれ盛り込むのではなく、もっとも感動したポイントを、それを際立たせている最小限のもので表現するようにします。それに慣れてくれば自然にそのものが感動と共に見えてくるはずです。そこまでは頑張ってください。
 隣の焼肉の匂いで夕餉いただく  ゆ

 頭掻き掻き銭の話  風狂子
面白いですね。頂句です。挙句は借金などの話でしょうね。ただ銭でなくもっと具体的なものにした方が強く迫れると思います。銭といえば下の句が思い出されます。
 死ぬ日近きに弟よ銭のこといえり  一石路
実景を詠いながら情景の感動点を明確にすればよい筈です。
 貯金は少ないけど借金済んだ居間  ゆ

 土鍋の底の雑炊冷えた  風狂子
頂句です。鍋物に欠かせないのが最後に素材のエキスが濃縮されたお汁にうどんやご飯を入れて卵などを加えて味を整えると、これはたまらない一品ですね。でも最初に食べ過ぎると雑炊にまでたどり着けませんし、折角の極上の一品を逃すことになりますね。幸せな家庭の食事がイメージできます。本当に日本人は食事で困るという人は稀で、本当にこの幸福な国で、何で犯罪が起きるのでしょうね。罰当たりです。
 しもつかれ初めての箸が恐る恐る  ゆ

 米炊くより餅焼く睦月  風狂子
一月はお餅があるので、おひつのお米が減るのは少し遅いでしょうね。自分も小豆の缶詰とかぜんざいのパックが安売りされているのを買って来たり、黄粉を買ってきてあるので、それで正月が済んだ後にもお昼に食べています。お鍋の後に入れるのもおいしいですね。頂句です。
 こげた餅が黄粉に染まる  ゆ

 スルメしゃぶって男ばかりの酒  風狂子
超頂句です。女子がいないと調理の手間のないスルメしかないというのは悲しいですが、実景をよく観ていて、良い眼差しです。
 酒にもならない一人居の食卓  ゆ

 低音の女が歌う別れの詩  風狂子
低音の女って、アルトくらいでしょうね。ソプラノの別れの詩ではこけますものね。頂句です。私の持ち歌は菅原洋一の「今日でお別れ」ですが、旧いですね。
 のっけから持ち歌の今日はお別れ  ゆ

 静か過ぎてため息響く  風狂子
疲れたり悩みあるとついため息になりますね。静かですと自分で気が付いておやおやと思いますね。頂句です。
 倖せが逃げちゃうため息に女の掌  ゆ


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