2013年2月7日木曜日

old is new (第2回)

         ・・・粟野賢太郎

 寝床についた家族みんなの目に雨音  啓司
家族は不要だと思ったが、家族が入ることで中句が緩やかになり、幸せな一家の姿が見える。

 炎ぼんやり神へ祈る  敬雄
熱心な祈りは火の如く。

 戸を開け夜明け前の明るさに座る  敬雄
上句は不要。

 大晦日の小さな地球儀回している  裕子
作者名を見ずとも女性の句とわかる。女人菩薩のような母性がある。

 黄昏のすすけた風だ  ゆ
すすけているのは、作者自身なのかもしれない。

 満員電車に咳一つ  ゆ
朝の田園都市線は体が浮く。咳に気づく余裕などない。随句らしい瞬間の句。

0 件のコメント:

コメントを投稿